3つの要素で形成された海域
京都府丹後沖から兵庫県山陰沖の海域は、沿岸部の「自然」と沖合の「対馬海流」、そして海底部は「日本海固有水」と「砂泥質の土壌」で形成されています。
この恵まれた環境により、丹後山陰沖は「奇跡の漁場」と言われています。
※2010年10月4日に「世界ジオパーク」に認定されました。
奇跡の漁場を形成する
3つの要素
豊富な森の栄養が海に流れ込む海岸部
上層部を流れる暖流「対馬海流」
海底部の環境
豊富な森の栄養が海に流れ込む海岸部
上層部を流れる暖流「対馬海流」
対馬海流の流れに沿岸の栄養分が混じる
上層部は対馬暖流の水温約20度の暖かな海水が流れており、暖かな海水を好むブリなどの回遊魚が獲れます。
この対馬海流の流れにより、沿岸の川から流れこむ栄養分が入りまじり、栄養豊かな漁場を生みだしています。
沿岸部で捕れる魚介
マアジ、サバ類、ブリ、スルメイカ、サワラなど
海底部の環境
低温で栄養に富んだ日本海固有水
丹後から山陰沖にかけて沖合い約20キロ、水深250〜400mの深海部は、水深200m程度の陸棚になっており、低温で窒素やリンなどの栄養に富んだきれいな日本海固有水となっています。太平洋側の深層水は年間を通じて10℃前後なのに対し、日本海固有水は2℃前後と低温です。摂氏0℃〜5℃の温度帯で年間を通じて変化なく穏やかで、海水も深層の海流によって栄養分がいきわたっています。
また、太平洋側の深層水は深度が深くなるに従って海水中の溶存酸素量が減少しますが、日本海固有水は深度が深くなっても溶存酸素量は表層水とほとんど変わらず豊富です。
太平洋など海峡水深が深い通常の海域の場合には、外洋の深層水が流入するのに対して、日本海の場合は、外洋との通路となる対馬海峡が著しく浅く、外洋の深層水が流入しないために、このような性質となっています。
砂泥質の土壌
わずかな水の動きで海底の沈積物が舞い上がってしまう位の軽泥な底質の砂泥状態。
この畑にも似た土壌はプランクトンや蟹の餌となる生物(魚、貝、ヒトデ、イカ、エビなど)が豊富で、ズワイガニ(松葉ガニ・越前ガニ)にとって絶好の生息地なのです。
沿岸部で捕れる魚介
ズワイガニ(松葉ガニ・越前ガニ)、えび、のど黒、ひらめなど
そして、京丹後市は「世界ジオパーク」に認定される
山陰海岸ジオパークエリアです。
3つの要素で形成された海域
山陰海岸ジオパークは、京都府(京丹後市)、兵庫県(豊岡市・香美町・新温泉町)、鳥取県(岩美町・鳥取市)にまたがる広大なエリアを有しており、山陰海岸国立公園を中心に、京丹後市の東端から鳥取市の西端まで、東西約120km、面積は2458.44㎢で、東京都よりひとまわり大きい広さになります。
日本海形成から現在に至る様々な地形や地質が存在し、それらを背景とした生き物や人々の暮らし、文化・歴史に触れることができる地域です。